【建築名】孤篷庵忘筌
過去問
問題
孤篷庵忘筌(京都市)は、17世紀に小堀遠州によって造立された、縁先にわたした中敷居の上の障子とその下の開口が特徴的な書院風茶室である。
正解は ○
忘筌(京都市)は、大徳寺の孤篷庵内にある12畳の茶座敷で、17世紀に小堀遠州によって造立された。縁先には中敷居をわたして上に障子を入れ、その下は内路地の景観を室内から眺められるように開放した特徴的な書院風茶室である
実物写真
https://note.com/masakudamatsu/n/nd2a2d610003e
覚えるためのポイント
忘筌(京都市)の建築的特徴を以下に示す。
- 大徳寺の孤篷庵内に位置する12畳の茶座敷である。
- 縁先に中敷居をわたし、上部に障子を配置している。
- 中敷居より下部を開放的な設計とし、内路地の景観を取り入れている。
詳しい解説
忘筌(京都市)は、大徳寺の境内に位置する孤篷庵内に設けられた12畳の広さを持つ格調高い茶座敷です。この茶室は、江戸時代初期の17世紀に、当代きっての茶人であり建築家としても名高い小堀遠州の手によって丹念に造立されました。建築的特徴として最も注目すべきは、その独創的な縁先の処理方法にあります。具体的には、縁先に中敷居を巧みにわたし、その上部には繊細な障子を配置する一方で、下部は内路地の自然な景観を室内から存分に眺められるよう開放的な設計としています。これらの要素が見事に調和し、書院造の要素を取り入れながらも独自の空間性を持つ特徴的な書院風茶室として、建築史上重要な位置を占めています。
孤篷庵忘筌(ぼうせん)は、京都の建築史において重要な意味を持つ茶室建築です。以下、その特徴と歴史的意義について詳しく解説いたします。
1. 基本情報と位置づけ
忘筌は京都市に位置し、大徳寺の孤篷庵内に建てられた12畳の茶座敷です。17世紀に、江戸時代を代表する茶人であり建築家でもある小堀遠州によって造立されました。書院造の要素を取り入れながらも、独自の空間構成を持つ特徴的な茶室として知られています。
2. 建築的特徴
本茶室の最も特徴的な要素は、その独創的な縁先の処理方法です。具体的には:
- 縁先に中敷居を渡していること
- 中敷居の上部に障子を設置していること
- 中敷居より下部を開放的な設計としていること
- 内路地の景観を室内から眺められるよう工夫されていること
3. 建築様式と空間構成
忘筌は「書院風茶室」として分類されます。これは純粋な草庵茶室とは異なり、書院造の要素を取り入れた様式を指します。12畳という比較的広い空間を持ちながら、茶室としての精神性も保持している点が特筆されます。
4. 歴史的・文化的価値
小堀遠州の作品として、以下のような価値を持っています:
・江戸時代初期の茶室建築の代表例
・書院造と茶室建築の融合を示す重要な事例
・日本建築における空間処理の妙を示す歴史的建造物
5. 建築的工夫と意匠
本茶室の特筆すべき点として:
- 内と外の空間を巧みにつなぐ中敷居の設置
- 上部の障子による光のコントロール
- 下部の開放による庭園との一体感の創出
- 12畳という広さを活かした空間構成
6. 現代的意義
忘筌は現代においても以下のような意義を持ちます:
・伝統的日本建築の空間処理の手本
・内外空間の連続性を考える上での参考事例
・建築における機能性と美の調和の実例
7. 建築学的評価
建築史上、以下の点で高く評価されています:
・独創的な空間構成手法
・実用性と意匠性の両立
・日本建築の伝統的要素の革新的な解釈
8. まとめ
孤篷庵忘筌は、小堀遠州による17世紀の傑作であり、日本の茶室建築における重要な位置を占めています。その特徴的な縁先の処理や空間構成は、現代の建築家たちにも大きな示唆を与え続けています。特に中敷居と障子を組み合わせた独創的な設計は、内外空間の関係性について深い考察を促す優れた事例として評価されています。
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