【建築名】ストックホルム市立図書館

過去問

問題

ストックホルム市立図書館（エーリック・グンナール・アスプルンド）は、円筒と直方体が組み合わされた外観をもち、巨大な円筒の内部には、壁に沿って書架があり、中央にサービスデスクが設けられている。

正解は ○

ストックホルム市立図書館（エーリック・グンナール・アスプルンド1927年）は、中央の円筒とその基壇となる直方体が組み合わされた外観をもち、巨大な吹抜け空間である円筒の内部は、円形の壁に沿った３層、360度の開架書架となっており、中央にサービスデスクが設けられている。

実物写真

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8

覚えるためのポイント

• 中央の円筒形と基壇部の直方体を組み合わせた特徴的な外観である。
• 円筒内部は3層構造の360度開架書架となっている。
• 中央配置のサービスデスクから全方向の書架を見渡せる効率的な設計である。

詳しい解説

ストックホルム市立図書館は、1927年にスウェーデンの建築家エーリック・グンナール・アスプルンドによって設計された、北欧モダニズム建築を代表する傑作として世界的に高い評価を受けています。この建築は、20世紀初頭の北欧における建築様式の転換期に生まれ、古典主義からモダニズムへの移行を象徴する重要な作品として建築史に名を残しています。

建築の外観は、中央に配置された印象的な円筒形の建物と、その基壇部分となる直方体のボリュームが見事に調和した構成を特徴としています。この幾何学的な形態の組み合わせは、単なる造形的な実験ではなく、図書館という公共施設の機能性と象徴性を両立させた結果として生まれました。円筒形の建物は高さ約23メートルで、その威厳のある姿は知の殿堂としての図書館の存在感を街並みの中で主張しています。

外観デザインにおいて特筆すべきは、基壇部分の直方体ボリュームの処理です。この部分は水平性を強調した落ち着いたデザインとなっており、垂直性の強い円筒部分とのコントラストを生み出しています。また、外壁には淡いピンク色の漆喰が使用され、北欧の厳しい気候の中でも温かみのある印象を与えています。

建物の内部空間は、その機能性と空間体験の豊かさにおいて特に優れています。中心となる円筒部分には、壮大な吹抜け空間が設けられており、その高さは約12メートルに達します。この空間は自然光を効果的に取り入れ、知的活動の場にふさわしい明るく開放的な雰囲気を創出しています。

円形の壁面に沿って設けられた3層構造の開架書架は、この図書館の最も特徴的な要素の一つです。360度にわたって配置された書架は、約200,000冊の蔵書を収納することができ、利用者は直感的に書籍にアクセスすることが可能です。各層の書架は、螺旋状に連続する空間として体験することができ、知識の海を巡る航海のような感覚を利用者に提供します。

書架空間の中心には、図書館の機能的な核となるサービスデスクが効率的に配置されています。この配置により、職員は全ての方向の書架を見渡すことができ、利用者へのスムーズな支援が可能となっています。また、この中央配置は、利用者の動線計画においても合理的な解決策となっています。

細部の設計にも、アスプルンドの繊細な配慮が見られます。例えば、各階の書架には適切な照明が設けられ、読書に最適な環境が整えられています。また、手すりや階段の디테ールにも美的な考慮が払われ、機能性と芸術性の調和が図られています。

この図書館の設計過程では、アスプルンドは何度も設計を練り直し、最終的な形に到達するまでに約10年の歳月を要しました。当初の設計案では新古典主義的な要素が強かったものの、設計過程でモダニズムの影響を強く受け、最終的に現在の姿に結実しました。

環境への配慮も、この建築の重要な特徴です。北欧の気候を考慮した断熱設計や、自然光を効果的に取り入れる工夫により、エネルギー効率の高い建築となっています。また、建物の向きや窓の配置にも周到な計算が施されており、室内環境の快適性が確保されています。

ストックホルム市立図書館は、その完成から約100年近くを経た現在も、なお多くの建築家や研究者、そして一般の利用者を魅了し続けています。それは、この建築が持つ普遍的な価値、すなわち機能性と美しさの見事な調和、そして人々の知的活動を支援する空間としての卓越性によるものと言えるでしょう。

ストックホルム市立図書館は、北欧モダニズム建築を代表する傑作として、以下のような特徴を持つ重要な建築物です：

1. 歴史的背景と意義

1927年にスウェーデンの建築家エーリック・グンナール・アスプルンドによって設計されました。この建築は、20世紀初頭の北欧における建築様式の重要な転換期に誕生し、古典主義からモダニズムへの移行を象徴する歴史的な作品として高い評価を受けています。

2. 建築の外観と構成

建物の外観は以下の特徴を持っています：

• 中央に配置された印象的な円筒形の建物（高さ約23メートル）と、その基壇部分となる直方体のボリュームが調和した構成
• 基壇部分の直方体は水平性を強調した落ち着いたデザインで、垂直性の強い円筒部分とコントラストを形成
• 外壁には淡いピンク色の漆喰を使用し、北欧の厳しい気候の中でも温かみのある印象を提供

3. 内部空間の特徴

内部空間は機能性と空間体験の豊かさにおいて特に優れており、以下の特徴があります：

• 中心となる円筒部分には約12メートルの壮大な吹抜け空間を設置
• 自然光を効果的に取り入れ、知的活動に適した明るく開放的な雰囲気を創出
• 円形の壁面に沿って3層構造の開架書架を設置し、約200,000冊の蔵書を収納可能
• 螺旋状に連続する書架空間により、利用者に知識の海を巡る航海のような体験を提供

4. 機能的な空間設計

図書館の機能性を高める工夫として：

• 書架空間の中心に効率的にサービスデスクを配置し、職員が全方向の書架を見渡せる設計
• 各階の書架には適切な照明を設置し、最適な読書環境を確保
• 手すりや階段のデザインにも美的な配慮を払い、機能性と芸術性の調和を実現

5. 設計プロセスと環境配慮

アスプルンドは約10年の歳月をかけて設計を練り直し、当初の新古典主義的な要素の強い設計案から、モダニズムの影響を受けた現在の姿に発展させました。

環境面での配慮として：

• 北欧の気候を考慮した断熱設計
• 自然光の効果的な活用によるエネルギー効率の向上
• 建物の向きや窓の配置による室内環境の最適化

6. 現代における価値

完成から約100年近くを経た現在も、この建築は多くの建築家や研究者、一般利用者を魅了し続けています。その理由として：

• 機能性と美しさの見事な調和
• 人々の知的活動を支援する空間としての卓越性

この建築は、図書館という公共施設の機能性と象徴性を両立させた優れた例として、建築史上重要な位置を占めています。

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