題名:「強度」と「幅厚比・横補剛材の数」
過去問・類似問題
問題1 構造 R03-15
柱及び梁に使用する鋼材の幅厚比の上限値は、建築構造用圧延鋼材SN400Bに比べてSN490Bのほうが大きい。
問題1 誤。強度を大きくすると、幅厚比の制限値は小さくしなければなりません。つまり、フランジやウェブを分厚くしなければなりません。
問題2 構造 R01-15
H形鋼を用いた梁に均等間隔で横補剛材を設置して保有耐力横補剛とする場合において、梁を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面の建築構造用圧延鋼材SN490Bに変更することにより、横補剛の数を減らすことができる。
問題2 誤。強度を大きくすると、横補剛(小梁)の箇所数を多くしなければなりません。
覚え方・解説
・【「強度」と「たわみ・断面寸法」】では、鉄骨の梁について次のことを学習しました。
強度を大きくすると
■たわみは小さくできない。
■断面寸法(梁せい)は小さくできる。
・今回は、前者の「強度を大きくしても、たわみは小さくできない」という内容と大いに関連する内容です。
・はじめに幅厚比と横補剛材の用語を確認しましょう。
■幅厚比
・幅厚比とは、フランジ、ウェブなどの個々の板要素の「幅/厚」です。
・幅厚比(幅/厚)が大きいほど、薄っぺらくなります。
・幅厚比(幅/厚)が小さいほど、分厚くなります。
■横補剛材
・横補剛材とは、横座屈を防ぐために横から支える部材で、大梁に対する小梁がその役割を担います。
・次にポイントを確認しましょう。
強度を大きくすると
・幅厚比を小さくしなければならない。
・横補剛材の数を多くしなければならない。
・分かりやすく言うと次のようになります。
・SN400B材の代わりにSN490B材を用いるなど、
■強度の大きい材料を用いた梁のほうが、フランジやウェブを分厚くしなければならない。
■強度の大きい材料を用いた梁のほうが、小梁の数を多くしなければならない。
・おそらく直感とは逆なのではないかと思います。
・これは「鋼材は強度を大きくしてもヤング係数Eは変わらない」という性質に因ります。
考え方 ・強度の大きい部材は、大きい力を負担するように設計します。
・鋼材は強度を大きくしてもヤング係数Eは変わらないので、大きい力を負担すると、大きい変形が生じます。ここがポイントです!
・変形には局部座屈や横座屈などがあります。
・強度の大きい部材が大きい力を負担すると局部座屈が生じやすくなるので、幅厚比を小さくしなければなりません。(フランジやウェブを分厚くしなければなりません。)
・強度の大きい部材が大きい力を負担すると横座屈が生じやすくなるので、横補剛材の数を多くしなければなりません。
(小梁の数を多くしなければなりません。)
強度を大きくすると
■たわみは小さくできない。
■断面寸法(梁せい)は小さくできる。
■幅厚比を小さくしなければならない。
■横補剛材の数を多くしなければならない。
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