【建築名】光浄院客殿の
過去問
問題
光浄院客殿の平面は、「匠明」の殿屋集に描かれている「主殿の図」とほぼ同じであり、桃山時代の標準的な武家の住宅の形式を示すものと考えられている。
正解は ○
「匠明」は、江戸時代に幕府の大棟梁であった平内政信の書いた木割書であり、木造建築の部材比例を数量化し、体系化したものである。この「匠明」の「主殿の図」と園城寺光浄院客殿の平面がよく一致し、桃山時代の標準的な武家の住宅の形式を示すと考えられている。なお、園城寺は三井寺とも呼ばれる。
問題
光浄院客殿(安土桃山時代)は、欄間や長押をはじめ、建具や金具、釘隠や引手などに技巧を凝らし、様々な意匠が施された数寄屋風の建築物である。
正解は ×
光浄院客殿(安土桃山時代)は、書院造の一例とされる建築物である。数寄屋風の建築物は風流の場やくつろぎの空間として、武家の権威と格式を重んじた豪壮な書院造を軽妙に崩したものである。書院造が角柱に長押を打ち、壁や襖を白漆喰や金碧障壁画で覆うのに対し、数寄屋風の建築物は、面皮柱の使用、長押の省略、土壁・色壁の使用などの特徴をもち、建具や金具、釘隠しや引手などに技巧を凝らしている。
実物写真
https://miidera-museum.jp/cultural-property/contents/20/
覚えるためのポイント
光浄院客殿の主な特徴は以下の3点である:
- 「匠明」の「主殿の図」と平面構成が一致している。
- 桃山時代における典型的な武家住宅の形式を示している。
- 書院造の代表的な建築物として評価されている。
詳しい解説
光浄院客殿の平面構成は、江戸時代に幕府の大棟梁を務めた平内政信によって著された木割書「匠明」の殿屋集に収録されている「主殿の図」とほぼ完全に一致しています。この事実は、光浄院客殿が桃山時代における武家住宅の典型的な形式を具現化した貴重な実例であることを示しており、当時の建築様式を理解する上で極めて重要な意味を持つものと考えられています。
光浄院客殿について詳しく解説させていただきます。
1. 歴史的位置づけと基本情報
光浄院客殿は、桃山時代を代表する建築物の一つとして知られています。特に注目すべき点は、その平面構成が「匠明」の殿屋集に描かれている「主殿の図」とほぼ同一であることです。このことから、この建築物は桃山時代における武家住宅の標準的な形式を示す重要な実例として位置づけられています。
2. 「匠明」との関連性
「匠明」は、江戸時代に幕府の大棟梁を務めた平内政信によって著された木割書です。この書物は、木造建築の部材比例を数量化し、体系化した重要な文献として知られています。光浄院客殿の平面構成がこの「匠明」の「主殿の図」と高い一致性を示していることは、当時の建築様式を理解する上で非常に重要な意味を持っています。
3. 建築様式の特徴
光浄院客殿は書院造の代表的な事例として位置づけられています。書院造の特徴として、以下の要素が挙げられます:
- 角柱の使用
- 長押の設置
- 白漆喰や金碧障壁画による壁や襖の装飾
4. 数寄屋造との比較
光浄院客殿の建築様式をより深く理解するために、数寄屋造との違いを明確にすることが重要です。数寄屋造は以下のような特徴を持っています:
- 面皮柱の使用
- 長押の省略
- 土壁・色壁の使用
- 建具や金具、釘隠しや引手などへの技巧的な装飾
5. 歴史的・文化的意義
光浄院は三井寺としても知られる園城寺の一部として存在しており、その客殿は単なる建築物としてだけでなく、当時の建築技術や様式を今に伝える貴重な文化財としても重要な価値を持っています。
6. 建築史における意義
光浄院客殿は、桃山時代における武家建築の発展過程を理解する上で重要な建築物です。特に、その平面構成が「匠明」の記述と一致することは、当時の建築様式の標準化や体系化を示す貴重な証拠となっています。
7. 建築的特徴の総括
書院造の特徴を忠実に体現している光浄院客殿は、武家の権威と格式を重んじた建築様式を代表するものとして評価されています。その建築様式は、後の時代の日本建築にも大きな影響を与えました。
8. 現代における価値
光浄院客殿は、建築を学ぶ者にとって重要な研究対象となっており、一級建築士の試験においても重要な出題項目として取り上げられています。その建築様式や構造的特徴は、現代の建築設計にも示唆を与える貴重な歴史的資料となっています。
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