(一級建築士対策)絶対間違えない【ジョンソン・ワックス・ビル】の覚え方

【実例】商業建築

【建築名】ジョンソン・ワックス・ビル

過去問

問題

ジョンソン・ワックス・ビル(アメリカ、1936年)の2層吹抜けの執務スペースでは、天井付近が広がった樹木状の柱や柱頭まわりの天窓、ハイサイドライトによって、内部に自然を再現している。

正解は ○

ジョンソン・ワックス・ビル(アメリカ)の2層吹抜けの中央執務室は、煉瓦とガラスで構成されており、20フィート(6.1m)間隔のグリッドに載る樹木状(茸・傘状ともいえる)柱によって統合されている。柱頭まわりの天窓やガラスチューブによるハイサイドライトにより自然採光を可能としており、内部に自然を再現している。

実物写真

https://www.yodoko-geihinkan.jp/p-library/library/lib-41/

覚えるためのポイント

ジョンソン・ワックス・ビルの特徴は以下の3点である。

  1. 20フィート間隔のグリッドを基準とし、独特な樹木状の柱により空間を統合している。
  2. 柱頭部分の天窓システムとガラスチューブによるハイサイドライトの二重採光を採用している。
  3. 伝統的な煉瓦と近代的なガラスを組み合わせ、新旧の建材を効果的に融合している。

詳しい解説

ジョンソン・ワックス・ビル(アメリカ)の2層吹抜けの中央執務室は、伝統的な建材である煉瓦と近代的な素材であるガラスを巧みに組み合わせて構成されています。空間全体は20フィート(6.1m)間隔の規則的なグリッドに基づいて設計され、その上に設置された独特な樹木状(あるいは茸状・傘状とも表現される)の柱によって空間全体が見事に統合されています。この特徴的な柱は単なる構造体以上の役割を果たしており、建築空間に独特のリズムと表情を与えています。さらに、各柱頭部分に設けられた天窓システムと、周囲に配置されたガラスチューブによるハイサイドライトという二重の採光システムにより、豊かな自然光を室内に導入することに成功しています。これにより、人工的な建築空間の中に自然の要素を効果的に取り入れ、快適で生産的な執務環境を実現しています。

ジョンソン・ワックス・ビルについて、詳細に解説させていただきます。

1. 建築概要と空間構成

ジョンソン・ワックス・ビルの最も特徴的な空間は2層吹抜けの中央執務室です。この空間は以下の要素で構成されています:

  • 主要建材:煉瓦とガラスによる構成
    • 煉瓦の重厚感と伝統的な質感
    • ガラスがもたらす透明性と軽やかさ
  • 構造的特徴:20フィート(6.1m)間隔のグリッドシステム
    • 空間の効率的な活用
    • 明確な動線計画の実現
  • 象徴的要素:樹木状(または茸状・傘状)の特徴的な柱
    • 有機的なフォルムによる空間の演出
    • 構造美と機能性の融合

2. 採光システムと自然との調和

建物の照明設計には特に工夫が施されており、以下の2つの主要な自然光の取り入れ方があります:

  • 柱頭周りに設置された天窓システム
    • 上部からの柔らかな光の導入
    • 空間全体への均一な光の分散
  • ガラスチューブを用いたハイサイドライト
    • 側面からの効果的な採光
    • グレア防止と光量調整機能

これらの要素により、室内に自然光を効果的に取り入れ、自然環境を室内に再現することに成功しています。さらに、季節や時間帯による光の変化が、空間に豊かな表情の変化をもたらしています。

3. 建築的意義と特徴

この建築の重要性は以下の点に集約されます:

  • 革新的な構造システム:
    • グリッドによる規則的な空間構成が可能にする柔軟な空間活用
    • 独創的な柱のデザインによる空間の統合と象徴性の表現
  • 環境との調和:
    • 自然光の効果的な活用による省エネルギーの実現
    • 内部空間における自然の再現による快適性の向上
  • 機能性と審美性の融合:
    • 効率的な執務空間としての実用性の確保
    • 芸術的な空間デザインによる創造性の促進

4. 建築史的価値

この建築は、モダニズム建築の重要な実例として位置づけられ、以下の点で建築史上重要な意義を持っています:

  • 技術革新:
    • 当時としては画期的な構造システムの採用
    • 新しい建築材料の革新的な使用方法の開発
  • 空間デザイン:
    • 従来の概念を超えた新しいオフィス空間の提案
    • 環境に配慮した先進的な設計手法の確立

5. 現代的意義

現代のオフィスデザインにも影響を与え続けている要素:

  • 持続可能性:
    • 自然光の最大限の活用による環境負荷の低減
    • 働き手の健康と快適性を考慮した環境づくり
  • 空間の質:
    • 柔軟性と機能性を備えた開放的な執務空間の実現
    • 自然との調和を図った心地よい室内環境の創出

6. 建築的影響

この建築は以下の点で現代建築に大きな影響を与えています:

  • 構造デザイン:
    • 形態と機能を統合した革新的な柱のデザイン手法
    • 効率的な空間利用を可能にするグリッドシステムの活用
  • 環境デザイン:
    • 自然光を活用した持続可能な照明計画の確立
    • 快適性と効率性を両立する室内環境の実現手法

この建築は、単なるオフィスビル以上の価値を持ち、20世紀の建築デザインにおいて重要な転換点となった画期的な作品として高く評価されています。その革新的なデザイン思想と環境への細やかな配慮は、現代においても多くの建築家や設計者に影響を与え続けており、サステナブルな建築の先駆的事例としても注目されています。この建築が示した先進的なアプローチは、今日のオフィスビル設計における重要な指針となっているのです。

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