(一級建築士対策)絶対間違えない【金沢市立玉川図書館】の覚え方

【実例】公共建築

【建築名】金沢市立玉川図書館

過去問

問題

金沢市立玉川図書館(石川県、1979年)は、東側の開架部門と、中庭を挟んで西側にある学習・管理部門を分けることによって、開架部門を気軽に立ち寄り利用できる空間とした図書館である。

正解は ○

金沢市立玉川図書館(石川県、1979年)は、中庭を挟んで、西側の学習・管理部門(事務室、参考資料室、学習室)から東側の開架部門を切り離している。中庭は、隣接する公園や街へも開かれており、街路に連続した半屋外的な空間になっており、市民が気軽に立ち寄れる図書館としている。

実物写真

https://www.reallocal.jp/46908

覚えるためのポイント

  • 中庭を核として東西に分かれた空間構成を採用している
  • 西側には管理運営機能と学習機能(事務室、参考資料室、学習室)が集約されている
  • 東側には開放的な開架部門が設置され、市民が気軽に利用できる空間となっている

詳しい解説

金沢市立玉川図書館(石川県、1979年)は、日本の図書館建築における革新的な空間設計の代表例として高く評価されている公共図書館である。この建築は、単なる本の収蔵・閲覧施設を超えて、地域社会と密接に結びついた文化的シンボルとしての役割を果たしている。

建物の最も特徴的な要素は、その独創的な空間構成にある。建物全体は中庭を核として東西に分かれており、この構成により機能的な空間の分離と同時に、有機的なつながりを実現している。この設計手法は、利用者の多様なニーズに応えながら、効率的な図書館運営を可能にする画期的なアプローチとして注目されている。

西側エリアには、図書館の管理運営機能と学習機能が集約されている。まず、図書館運営の中枢となる事務室が配置されており、ここでは蔵書管理、利用者サービスの計画立案、図書館間の相互貸借業務など、図書館の基幹業務が行われている。事務室の効率的な配置により、スタッフの動線が最適化され、迅速なサービス提供が可能となっている。

また、西側エリアには専門的な調査研究に対応する参考資料室が設けられている。この空間には、百科事典、専門事典、年鑑、統計資料などの参考図書が体系的に配置されており、学術研究や専門的な調査活動を支援する重要な機能を担っている。参考資料室の設計では、自然光を効果的に取り入れながら、資料の保存に適した環境を維持するための細やかな配慮がなされている。

さらに、西側エリアには静寂な学習環境を提供する学習室が整備されている。この空間は、騒音を最小限に抑える音響設計が施されており、集中力を要する読書や研究活動に最適な環境を提供している。机や椅子の配置にも工夫が凝らされ、個人学習スペースと少人数での討議が可能なエリアが適切にゾーニングされている。

一方、東側には開架部門が独立して設置されている。この空間的な分離は、図書館の利用形態に応じた環境づくりという観点から非常に重要な意味を持っている。開架部門では、利用者が自由に書架を閲覧できる開放的な雰囲気が創出されており、気軽な読書活動や本との偶発的な出会いを促進する空間となっている。書架の配置は利用者の動線を考慮して設計されており、効率的な蔵書検索と快適な閲覧を両立させている。

建物の中心に位置する中庭は、この図書館の空間構成において極めて重要な役割を果たしている。中庭は単なる建物内部の空間装置としてだけでなく、周辺環境との調和を図る重要な建築要素として機能している。隣接する公園との視覚的な連続性を確保することで、建築と自然環境との融合を実現している。この設計手法により、図書館は都市空間の中に柔らかく溶け込み、より親しみやすい公共施設としての性格を獲得している。

さらに、中庭は街路からも自然にアクセスできる開放的な設計となっている。この特徴により、図書館は都市の動線の一部として機能し、市民の日常的な動きの中に自然に組み込まれている。中庭は半屋外的な空間として設計されており、内部と外部の境界を緩やかにすることで、より多くの市民が気軽に立ち寄れる親しみやすい図書館として機能している。

この空間構成がもたらす効果は、図書館の利用統計にも表れている。開館以来、利用者数は着実に増加を続け、特に開架部門の利用率は他の公共図書館と比較しても高い水準を維持している。また、学習・研究目的での利用も活発で、地域の知的活動の拠点としての役割を十分に果たしている。

金沢市立玉川図書館(1979年)は、日本の図書館建築において革新的な空間設計を実現した代表的な建築物です。以下、その特徴と意義について詳しく解説します。

1. 概要と建築的意義

この図書館は、単なる本の収蔵・閲覧施設を超えて、地域社会と密接に結びついた文化的シンボルとしての役割を果たしています。最も特筆すべき点は、その独創的な空間構成にあり、中庭を核として東西に分かれた構造により、機能的な空間分離と有機的なつながりを同時に実現しています。

2. 西側エリアの特徴と機能

西側エリアは、管理運営機能と学習機能が集約された空間として設計されており、以下の3つの主要な機能を備えています:

a) 事務室:

・図書館運営の中枢として機能

・蔵書管理、利用者サービスの計画立案、図書館間相互貸借業務などの基幹業務を実施

・スタッフの効率的な動線を確保し、迅速なサービス提供を実現

b) 参考資料室:

・専門的な調査研究のための空間

・百科事典、専門事典、年鑑、統計資料などを体系的に配置

・自然光を活用しつつ、資料保存に適した環境を維持

c) 学習室:

・静寂な学習環境を提供

・騒音を最小限に抑える音響設計を採用

・個人学習スペースと少人数討議エリアを適切にゾーニング

3. 東側エリアの特徴

東側には開架部門が独立して設置されており、以下の特徴を持っています:

・利用者が自由に書架を閲覧できる開放的な空間

・気軽な読書活動や本との偶発的な出会いを促進

・利用者の動線を考慮した効率的な書架配置

・快適な閲覧環境の実現

4. 中庭の役割と意義

中庭は、この図書館の空間構成において核となる要素であり、以下の機能を果たしています:

・周辺環境との調和を図る建築要素として機能

・隣接する公園との視覚的な連続性を確保

・都市空間との自然な融合を実現

さらに、中庭には以下のような特徴があります:

・街路からの自然なアクセスを可能にする開放的な設計

・都市の動線の一部として機能

・半屋外的な空間として、内部と外部の境界を緩和

・市民が気軽に立ち寄れる親しみやすい雰囲気を創出

5. 利用実績と社会的影響

この革新的な空間構成は、実際の利用状況にも顕著な効果をもたらしています:

・開館以来、利用者数は着実に増加

・開架部門の利用率は他の公共図書館と比較して高水準を維持

・学習・研究目的での利用が活発

・地域の知的活動の拠点として重要な役割を果たしている

このように、金沢市立玉川図書館は、その革新的な空間設計と機能的な配置により、現代の公共図書館のあり方を示す先駆的な事例として高く評価されています。利用者のニーズに応える実用性と、都市環境との調和を両立させた建築として、今日も多くの示唆を与え続けています。

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